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2006.10.22

『かもめ食堂』と『パーマネント野ばら』

かもめ食堂
かもめ食堂
posted with amazlet on 06.10.22
バップ (2006/09/27)

『かもめ食堂』は大変良い映画だった。

…というレビューは、もうネットのあちこちにあるので、別にいまさら追っかけることもないのだけど、この作品を非常に優れたものにしている原因のひとつは、性愛がほとんど出てこないところだと思う。
きわめて魅力的な食堂の女性三人、少なくとも映画の中では男っ気はまるでない。それがいい。
恋愛やセックスといった面倒なことにとらわれることなく、シンプルに自分の好きなもの、自分の居場所、自分のあるべき姿をゆっくりと積みあげていくところがいい。恋愛がからまなくったって女の人生充分輝くことができるはずなのだが、意外とそんなフィクションは少ない。 かもめ食堂

途中から登場する、夫の浮気に悩み(つまり性愛に人生を絡めとられて)酒を飲みすぎてしまう年配のフィンランド人女性が、この三人の引き立て役にもなっている。特にもたいまさことは好対照だ。(…といっても、この映画におけるもたいまさこの不気味な存在感は、どんな対照をもってしても全く動じることのない、ふてぶてしいほどの見事なものなのだ。)

さて一方で『パーマネント野ばら』だけど、

パーマネント野ばら
パーマネント野ばら
posted with amazlet on 06.10.22
西原 理恵子
新潮社

こちらの作品は、これ全編が性愛に人生を絡めとられた女たちのドラマだ。『かもめ食堂』の酔っ払ったご婦人のような方ばかりが登場する。 作者は『ゆんぼくん』『ぼくんち』と磨きをかけてきた「美しい自然と猥雑な庶民の生を対比させる」スタイルで、ひたすら「ダメなおばさんのダメな恋」を語っていく。
いくらギャグ風味で味付けされているとはいえ、その笑いは苦く、時に息苦しくなりがちだ。それでも、あえて作者は恋するおばさん・おばあさんを前面に出していく。性愛に悩み、自虐に走りながら性愛のことばかり喋っているおばさん・おばあさんたちの日常を描ききることで、女性が生きることの意味について問いかけている。

二つの作品はのアプローチはほぼ正反対だけど、底には通じるものがある。 若くて可愛いだけの女の子たちからは絶対に感じ取れない、歳月を重ねたゆえに生まれる人生の輝きのようなもの。

『かもめ食堂』の原作は群ようこ。 『パーマネント野ばら』の作者はもちろん西原理恵子だ。

鳥頭対談―何を言っても三歩で忘れる
群 ようこ 西原 理恵子
朝日新聞社
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