サプライズ(ポール・サイモン)
まったく、このおっさん、いつまで若いのか。
ポール・サイモンは絶対に無駄な音を許さない。
削れるところはすべて削り落とす。それで、さびしくも貧乏くさくもならない。むしろ豊かになる。
隙間をなんとなく埋めるだけのシンセ白タマ弾きとか、無駄に強圧的なだけのバスドラの音などが全く使われない。全ての音に意味があり、確固としたコンテキストがある。
スタイルはどんどん変遷すれど、こうしたシンプルで強固な音作りは全く変わらない。
グラミー賞にノミネートされた前作『ユー・アー・ザ・ワン 』から5年以上、御歳64歳にしてリリースしたこの作品、音作りのベースは前作から引きついているものの、そのアプローチがアグレッシブで若い。本当に若い。なんと言うか、ロックンロールだ。
ポピュラーミュージックに不可欠な親しみやすさを全く失うことなく、何でこんな新しい音が作れるのか。穏やかなアコギのリフの上に、いきなり投入される16ビートのドラムを載せたり、メジャーとマイナーの間をゆらゆらする聴いたこともない和音にメロディ。緻密な技巧と茶目っ気、前衛と大衆文化の絶妙な融合。ビーチボーイズの『ペット・サウンズ』を思わせるものがある。ブライアン・イーノの参加がどのくらい影響したのかわからないが、とにかくすごいや。
歌がうまくなっているのも凄いことだ。1991年の東京ドームライブで「あれーこの人この歳で進化しているよ」と感動したのだが、さらにうまくなっている気がする。凄い。
それでもまだあなたはS&Gの小さいほうとしか思わないのであろうか。これぞ2006年、最新型のロックンロールなのに。
それにしても『グレイスランド 』からもう20年ですかそうですか。レイ・フィリとともにこの傑作を支えたギタリスト、ヴィンセント・ヌグイーニ(ングイニ?ヌギニ?Vincent Nguini)のギターがまた聴けたのも嬉しいところ。驚くほど音色が変わってないです。
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