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2005.11.24

[映画]ALWAYS 三丁目の夕日

リンク: ALWAYS 三丁目の夕日
「ALWAYS 三丁目の夕日」夕日町オフィシャルガイド

実は、大変恐ろしい映画。

あ、原作がお好きな方には気に障るところも多々あるかと思われますが、あのペーター佐藤みたいな絵がポスターに使われた時点から、タイトルALWAYSなんて英語が入った時点から、もはやあの西岸良平の世界を望むのは無理というもので。薬師丸ひろ子の母親ぶりだけは、ちょっとそれっぽかったけど。

中途半端なノスタルジーほど安易で見苦しいものはないが、この映画ではCGと美術に予算をつぎ込んで、昭和33年を可能な限り再構築しようとする。役者が食うカレーまで当時の味を再現し、当時のテレビと同じブラウン管の「新品」を探し出し、CGでほんものそっくりの都電を走らせてしまう。

演出に加えてこうした道具立ての努力も好影響したのか、役者の芝居のなかに嫌味なところがない。どちらかと言えば平凡というかベタというか、どこかで見たことのある展開(原作はね、絵はほのぼのしてても展開は結構スリリングなところもあるんですよ)だが、むしろ役者や美術・CGの邪魔をせずにしっかりと機能している。

ただ、ここまでの労力と資金をつぎ込んで「いまは失われた愛おしいもの」として語られた、まるで落語の世界のような善良な庶民の暮らしぶり、駄菓子屋の店先、家族間の思いやり、『冒険少年ブック』などなど、つまり風情・人情といったものを、のちにすっかり変質させてしまった張本人は一体なんだろうか。

それは…。以下ネタバレ。
 

それは東京タワーだろ。

人々の希望の象徴として、この映画の中でだんだんと組みあがっていく東京タワー。

しかしその東京タワーによって本格化するテレビの普及と、これによってもたらされた大量消費社会こそが、この映画のコアにある「失われた愛おしいもの」を押し潰して行った下手人そのもの。

なので東京タワーが完成し、人々がこれを眩しそうに見上げるところでこの映画は終わる

…だから怖い映画だって言ったじゃない。

監督は、当時少年だった三浦友和(町医者の役を好演)から「当時は、あと十年たったら楽になるってみんな言っていた」と聞いたのをそのまま頂いて脚本に使っている。
さて、IT企業によるテレビ局資本参加についての騒ぎが話題となり、第二東京タワーの建設計画が進む今の世において、あと十年たったら、我々はどうなっているのだろうか。

違った違った。もとい。

あと十年たったときに、我々は、どうなっていたいのか?

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Economics Lovers Live/entry ALWAYS 三丁目の夕日
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コメント

TBおよび記事の紹介ありがとうございました。
「怖い映画」という非常に面白く興味深い視点からのものの見方が参考になりました。
そういうふうに見れば東京タワーというのはある意味逆説的な象徴ですね。あれがその後の時代をつくったといってもいいような。
こちらの記事は刺激的でした。

投稿: junike | 2005.11.24 09:05 午後

TBありがとうございました。的確な評で参考になりました。私は東京タワーが夜空に輝いているのをみて、たぶん昭和39年ごろの記憶なんですが、もうすでに閉門している時間にもかかわらず父親にごねてタワーにつれていってもらい、そこで門衛さんに「もうおわりだよ」といわれた記憶を残しています。個人的には日本の高度成長を実感できたのはケーキ屋さんのケーキのクリームがバタークリーム一色から生クリームに変化していったことでしょうか。食い意地はってますが。10年後にはできれば血糖値や脂肪をまったく気にしないケーキがでてきてほしいものです。笑

投稿: 韓流好きなリフレ派 | 2005.11.24 10:34 午後

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