川島雄三特集
「シネマアートン下北沢」で特集上映『監督 川島雄三』やるらしい。
6/5~7/2
全12作品上映だそうだ。
何年前だったか、三百人劇場の川島特集と、チャンネルNECOの特集などでかなり制覇したので、なんと11本は過去に観たことがある。
↑お薦めの入門書。知らない人も多いかもしれないが、川島雄三は僕の一番好きな映画監督。日本映画のDVD再発というと黒澤や小津ばっかりで、川島といえば一作品しかない。
ということで、貴重な機会なので映画好きの方は是非一度足をお運びください。
上映作品をちょっとレビューしてみます。
タイトルはCinemaScape にリンク。
■「女は二度生まれる」 1961年 大映東京 ☆☆☆
若尾文子が女優としての才能を開花させた作品だが結構評価の難しい映画。花柳界を描きつつもあの「靖国神社の鳥居」の扱いはなんなんだろう。
■「雁の寺」 1962年/大映京都 ☆☆☆☆
これは凄いよ。住職・愛人・若い修行僧の愛憎劇。衝撃のラストシーンまでサスペンスでグーッともっていく。若尾文子の妖しさ大爆発。
■「しとやかな獣」 1962年/大映東京 ☆☆☆☆☆
もうこれは本当に必見。公団住宅の二部屋からほとんど出てこない「現代能」映画。
ありとあらゆる角度から覗き込むようなカメラアングルと、台詞は全編どす黒いブラックユーモア。
怪優・伊藤雄之助に、山岡久乃・小沢昭一の怪演が凄まじい。昭和37年にこんなスタイリッシュな作品がつくれたこと自体が、とんでもないというか、なんというか。映画を観て笑いながら心の芯が凍り付いていく体験をぜひ。
■「風船」 1956年/日活 ☆☆☆
川島本人が語った通り原作はどうでもいいような話。女優の使いかたと風俗描写の確かさは楽しめる。芦川いづみ可愛い。
■「赤坂の姉妹 夜の肌」 1960年/東宝
未見。伊藤雄之助が出ているなら観にいこうかな。
■「あした来る人」 1955年/日活 ☆☆☆☆
これはもう三国連太郎のあまりの美男子ぶりに驚嘆するしかない映画ですね。三橋達也がかっこいいのはいつものこと。山村聰演じる父親が、少し怒ればいいんじゃないかと思うんだが全然怒らない。
■「青べか物語」1962年/東宝 ☆☆☆☆☆
俗の中に聖を、猥雑の中に純潔を、人情喜劇の中に深い悲しみを描く川島群像劇の頂点にして川島の最高傑作。印象派絵画のような絵作りは名カメラマン岡崎宏三。山茶花究が素晴らしいのはいつものこととはいえ。左卜全の名演技に心打たれない人は稀だろう。
■「喜劇 とんかつ一代」1963年/東宝 ☆☆☆☆☆
僕はこの映画の主題歌をMP3にして、いまでもときどき聴いている。社長シリーズとキャストはダブるがあんなユルユルしてない、ぴしっとしまった傑作喜劇。ここでもやっぱり山茶花究。そして三木のり平。そしてフラさん(フランキー堺)と団令子。「しとやかな獣」で実験を重ねたと思われる前衛的なカメラアングルがひょいっと出てきて、驚く。
■「暖簾」 1958年/東宝 ☆☆☆☆☆
川島には珍しい正攻法の傑作。森繁久弥(久彌)の親子一人二役という超絶的名演技が楽しめる。乙羽信子の可愛らしさが印象的。
■「貸間あり」 1959年/東宝 ☆☆☆☆
原作の井伏鱒二をすっかり困惑させた猥雑「重喜劇」。桂小金治が素晴らしい。裏にある深刻なテーマについてはあまり考えずに、ちゃらちゃら楽しめばいいのではないかと思う。そして観た後でこの映画のメイキング小説、藤本義一『川島雄三、サヨナラだけが人生だ』に収録されている『生きいそぎの記』を読むと、泣ける。
■「洲崎パラダイス 赤信号」 1956年/日活 ☆☆☆☆☆
三橋達也・新珠三千代という美男美女が演じる駄目男駄目女。退廃的なラテンミュージックに重く暗いモノクロの街。小沢昭一の軽妙さがスパイス。
■「幕末太陽傳」1957年/日活/ ☆☆☆☆☆
もっとも有名な作品。疾走するフランキー堺に艶やかで騒がしい遊女たち。そしてやっぱり小沢昭一。石原裕次郎は下手(顔はかっこいい)。
川島雄三作品ガイドとしてはこちらかご参考になるかと。
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