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2004.04.13

尻馬より野次馬

今回のイラクの件は、どうやら世論を二分しているようだ。
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自衛隊撤退の要求に応じない政府方針を支持するか
支持する43.5%
支持しない45.2%
分からない無回答11.3% 共同通信調査 東京新聞より
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掲示板やらBlogやら、さまざまな意見が飛び交っている。

さてさて、むかしむかし、もっとドラスティックに、ぱっくりと世論が割れたのは安保である。

70年安保闘争、左な方々と機動隊との市街戦の、その騒然さと熱気が冷めやらぬ1970年7月、朝日新聞社を「下請け」として、『朝日ジャーナル』誌を包紙にして創刊された「櫻画報(当初は「野次馬画報」)」というメディアがあった。主筆は赤瀬川源平。

は国花。そして桜肉→馬肉。馬とくれば野次馬。そして露天商などの見物人にして回し者も「サクラ」。「櫻画報」は当時の騒乱状態をパロディにした漫画というかイラストレーションというか。
単なる一コーナーとして朝ジャに連載することを「朝ジャに包んである」と表現するあたり、そのポップな虚構性がご理解いただけるかと思う。

キナ臭い「政治の季節」のなかでも櫻画報は、主にデモ・機動隊をサカナに、状況に対する先鋭的なパロディ表現を続け、最後には戦中の国定教科書「アカイ アカイ アサヒ アサヒ」のパロディで朝ジャの連載を終了する。
で、これが問題化して(「朝日は赤い」じゃ、まずいと)朝ジャの回収騒ぎに発展する。

櫻画報の標的になったのは、表向きには体制とメディア(これも体制側に入るね、ブル新なんて古語もある)だった。がしかし、赤瀬川主筆が本当に問題にしていたのは、ある状況の中で主体化させられてしまうこと、だったのではないか。

人の尻馬に乗っかって(実はそう強いられて)無理に意見なんぞを言わされるのであれば、ここは一つ野次馬になって騒動を眺めていたほうがいい、この本を読んでいるとそんな気がする。

二択を選ばされるような事態になったら、野次馬の如く逃げる。それも手だ。
そして、人命がかかっているのであれは「祈る」のも手だ。

ネットによって意見を表明する権利を得た!!と喜んでばかりいるのはいささか危険なのかもしれない。ネットによって知らぬ間に主体化を強いられる不条理について、少しは警戒しておこう。主体化→服従なんて、ややこしい話は僕にはできないのだけど。

取り越し苦労?
かもね。でも『櫻画報』はお奨めなので、とりあえず読んでみてくれよ。

sakura.gif櫻画報大全

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